Endorphin

Spurs,競馬,麻雀

ビアンカ、古典部

いくつか本を読んだ。


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まずは筒城灯士郎『ビアンカ・オーバーステップ』
この本は筒井康隆ビアンカ・オーバースタディ』の続編に当たる。刊行された経緯として、『ビアンカ・オーバースタディ』のあとがきにあった「誰か続編を書いてくれないか」という冗談に著者が本気で乗っかり、星海社が新人賞を与え、筒井康隆からも公認を貰い、晴れて本という形になったようだ。
率直に言って、筒井の『ビアンカ・オーバースタディ』はそこまで面白くはなかった。ライトノベルを消費するオタクを風刺するようなエッジは感じられたが、ストーリーに引っ掛かりが無かったというか。
しかし続編に当たるこの本はかなり面白く読めた。ただ、かなり人を選ぶ本ではある。
骨格はSFなのだが、時間軸を移動できるタイムトラベルが可能だったり、更には無数の世界線を移動したり、異世界を移動したりもする。そして、文章の骨格も複雑でかなりメタメタしているし、筒井康隆メタにも感じる描写もある。更に言えば、この物語の主人公である北町ロッサは病的に姉の北町ビアンカを愛しているのである。そう、クレイジーサイコレズなのである。メチャクチャなのである。下巻を読み進めてる時には「破綻してない?」と思うこともあったが、最終的にはなんとか破綻ギリギリのところで踏みとどまった気がする。
いずれにせよ、女性視点での語りは気持ち良く読めたし、筒井康隆調のジョークも随所に散りばめられていて、全体として楽しく読めたので満足。「妹にとって不要なものは-姉以外のすべてだ。」にはニヤリとした。


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米澤穂信古典部』も読んだ。普段はこういったムック本は買わないし読まないが、古典部の新作を収録しているということなので購入。もちろん新作を読めたのが1番満足だったが、恩田陸綾辻行人北村薫との対談記事も面白かった。というか読みたい本がまた増えてしまった。あまり外国作家は通ってないので、今度手を出してみようかなと。ホームズとクリスティーを小学生の頃に何冊か読んだ記憶はあるのだが、当然のように内容は記憶にないし…。
米澤先生が「古典部の時間を進めると決めた」経緯についての語りも印象的だったし、共感した。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』のカンヤ祭3部作ももちろん好きだけど、古典部員たちの学校外のことに関しても触れられはじめた『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』『いまさら翼といわれても』はより一層好きなので。


読んでも読んでも、積ん読は減らない一方なのが最近の悩みである。